男3人で「おっパブ」に行った時の事です。意を決してキャッチの兄ちゃんに声をかけた。
　「すみません。おっパブに行きたいんですが。」
　我々は、「なるべくハードなやつお願いします」と付け足しました。兄ちゃんは手慣れた様子でお店を我々に紹介しました。
　雑居ビルの地下一階でした。そこがおっパブでした。店に入るとソファーに横並びに座らされ、お酒は何にするかと聞かれました。
　そして、いきなりオッパイ丸出しの女性が現れたのです。オッパイ丸出しで、普通に自己紹介をしてきます。どこから来たんですか〜？と何食わぬ顔で世間話をしてきます。
　オッパイを丸出しにしたその女性は普通に会話を続けてくるが、こちらは丸出しにされたオッパイが気になって全く会話に集中できないです。ただ、どう考えてもオッパイは触って良いはず。いや触るべきでしょう。すると、「どうぞ。」と言われた。オッパイ丸出しで、どうぞ。「それでは失礼します。」と言ってそのまま触りました。触りながらも、普通に日常会話が続きます。何なら相手は、さぞオッパイなど触られていないかのような顔をしながら会話を続けてきます。ふと、他の男が気になりました。僕は真ん中に座っていたが、左隣に居たのが、Fです。
　Fは、ガッツリ両手で胸を揉んでいました。Fは、もはや会話などせず、シンプルにオッパイを揉むことに集中していました。世間話をしながら右手で乳首の周りをくるくるしてる私も不気味でしたが、何も会話をせずオッパイに没頭しているFも相当に不気味でした。無言で、せっせと揉んでいます。業者のようでした。おっパブ嬢様はオッパイを揉まれながら喘ぐでも喋るでもなく、ニヤニヤしています。
　次に、右隣の男、Yを見ました。するとそこには目を疑うような光景が広がっていた。なんと、その男...　揉んでいない...！Yは一切胸を揉んでいなかったのです。
　「本当は、こんなことしたくないんだろぅ...？」
　Yのトークが、こちらにも聞こえてきます。シンプルにおっパブ嬢を口説いていました。
やたらオッパイを触る私とFを尻目に、「自分はそんなことするような男じゃない」というスタンスで差別化をはかり、それを強みに、おっパブ嬢を口説いているのでした。
　「もう安心して大丈夫やで...？」
　生暖かい声で囁きかけるYのトークは、止まらない。おっパブ嬢にブラを付けさせて、肩に手を回して入念に口説きにいっています。さっきまであんなに「おっパブ行きてえ！」と騒いでたのに、いざおっパブに着いたら手のひらを返したようにスタンスを変えて、突然モテにいく。おっパブでオッパイを触らないという彼の余裕が一瞬カッコ良く見えましたが、直後、Yに対する違和感と不信感が爆発しました。なんだ？　あいつは何をやってるんだ..？っていうか、あれはモテるのか？何か、オカシイ気がします。本当に、「俺はいきなりオッパイを触ったりしねえ」っていうスタンスは、おっパブにおいてカッコイイ振る舞いなのか？いや、むしろ怖くないでしょうか？　ここ、控えめに言ってもオッパイ触る場所ですよね？　オッパイ触ることを求められている場所ですよね？ここでオッパイを触らないって、あからさまにTPOわきまえてないし、なんなら、見る人によっては逆に「セクハラ」じゃないでしょうか、それは。オッパイの一つも触らずに「本当はこんなことしたくないんだろ？」と言いながらそっとブラ付けてくるやつ。そいつは短期的にはオッパイ触らなくて良いかもしれないけど、一方で長期的に見るとストーカーとかになるリスクがあるだろ絶対。多分、いやもう確信に近いけど、その子、むしろ触って欲しいのではないかと思います。「本当はこんなことしたくないだろ」ってい一方的な理論、なに？普通に「したい」かもしれないです。極めつけは「もう安心して大丈夫やで？」だと...？いつの間に悲劇のヒロインを救う正義のヒーローになったのか？今一度よく確認した方が良いと思うけど、今いるの、おっパブですよ？
　オッパイを揉む為に金払ってイケシャーシャーとおっパブに入って来た男性に対して、一番抱き辛い感情が「安心感」ですよね？突然、前触れもなく包容力発揮するの、やめてもらっていいかな？本当に。
　おっパブの終わりは突如として訪れた。持ち時間が終わったのではないです。無言でオッパイに没頭していたFが、突然、乳首を「舐めた」のです。どうも「乳首舐め」は明確に違反だったらしいです。突如として現れた怖めのお兄さんにFはつまみ出され、僕たちもそのタイミングで店を出るよう言われてその場を後にしました。とんでもなく後味の悪い終わり方でした。
　店から出ると、「やっぱ、舐めたらあかんかってんな〜」とFが悲しそうな声で言った。舐めたらあっかん〜舐めたらあっかん〜と、Yが天童よしみのCMソングを歌った。さっきまでイケメン気取りで口説いてたのに、おっパブを出たらキャラが戻っていました。