私の親戚にナースをしている加藤という子がいるのですが、看護師暦9年の粋(すい)を結集しても、
ドクターの言ってる言葉は、常時、呪文に聞こえるそうです。
「急いで○○持ってきて!」の○○が、
1回で聞き取れたことがないよー。って言ってる次第です。
そんな子が、救急病棟に配属になりました。
登場して、3ヶ月。
全然、名前を覚えてもらえない。
1年目の超新人 後藤さんは、もう「ごっちん」とか
呼ばれてんのに、
完全に「看護婦さん」って呼ばれてます。
隙あらば、看護婦さんにも「看護婦さん」って呼ばれる。
そうしたら、先日
「今、入院した患者さん、即オペになったから!」
と、怒涛の展開が起こったのです。
ごっちんが「何かやれることないですか!」
って飛び込んだ。
そうしたら、先輩も、ゆっくり頷いて、
「ごっちん、じゃあ、手術部位の剃毛、お願い」
そしたら、ごっちんが超マゴマゴして
「あの・・私・・剃毛したことなくて・・・」
そこでその子、もう、そのボールいただき!とばかりに飛びついたそうです。
「私、できます!」と。
「私、剃毛できます!」と。
「この加藤に、剃毛はお任せあれ!」と。
そうしたら、先輩が、じっと名札を見てから、
「加藤さん、お願い!」
って頷いたそうです。
「ごっちん、剃毛、手伝ってくれない?」って声をかけたらごっちんも「はい!」って嬉しそうに言うので、
ごっちんに「俺の背中みとけ」って感じで、ドクターにかっこよく
「先生、剃毛部位は?」ってデキル女風に確認して、
「全範囲だ」って言われて、1発で頷いた。
ドクターの言ってることが、1回で聞き取れた奇跡の瞬間と言ってました。
道具をすばやくそろえて、ごっちんを従えて、
患者さんの病室に飛び込んだら、ちっちゃいおじさんが居たそうです。
長年で培ったトークで患者さんをリラックスさせながら、
剃毛へと いざなう。
「手術って、やっぱり、そんなとこまで剃るんですね・・」
という患者さんに、
「そうですね、やっぱり毛の中にはバイキンが多いので、
ここから手術のあと感染したり うんたらかんたら〜」
なんて軽快なトークで、なめらかに下着を下ろして、びっくり。
樹海だ。
樹海である。
ちっちゃいおじさんが、猛威をふるっておる。
ごっちんが、無理だって顔をしてる。
ここを剃毛するなんて無理だって顔してる。
大丈夫。
目で合図し、
ごっちん、見てて。
もし「剃毛病棟24時」ってドラマがあったら、
江口は間違いなく私だよ。とか思いながら
ごっちんに右手を差し出し「ハサミ」と言った。
ごっちんは、すばやく、ハサミを差し出した。
「完璧・・ですね」
ごっちんが憧れの眼差しで見てます。
たった10分。
ノルウエイの森が、更地に。
そしたら、ナイスタイミングで、先輩とドクターが病室に来たので。
先輩に子犬のように駆け寄って
「剃毛したんで、確認してください」
って微笑んだそうです。
先輩が、オーケーオーケーと、微笑んで患者さんを見た。
下半身を見た。
そして叫んだ。
「頭の手術よ――――――――!!」
「この叫びを、私は生涯忘れないと思う。」と言ってました(笑)
で、一同絶句。
患者さんも、ごっちんも、先輩も、ドクターも。
ただ、病室の時計のカチカチカチカチって音だけが響いて
ご、ご覧のとおり、頭ボウボウなわけです。
で、でも、下はつるっつるなわけです。
「なんで・・こんなことに・・」ってドクター。
完っ全っに、剃る場所を間違ってるわけです。
本丸を手つかずにして、
とんでもないとこを、思う存分剃りあげたわけです。
患者さんも、「だよね」って言ってたそうです。
「頭の手術なのに、すごいとこまで剃るなーって、
やっぱグローバルなんだなーって」とのこと。
グローバル間違え。
剃毛っていったら、下しかないと思ってたみたいです。
それから無事、頭の手術を終えた患者さんに、
もう、師長も主任も連なって、謝って、
患者さんの家族にも
「上の毛と下の毛を間違って剃ってしまいました」
と謝って、
最終的には、院長まで出てきて、
「上の毛と下の毛を間違って剃ってしまいました。
患者さんの苦痛を考えると・・・」
って謝って、
最終的に、その子は
「上の毛と下の毛を間違って剃ってしまいました」
というミス・トラブル報告書を書いたそうです。
さまざまな角度から、上の毛と下の毛を剃り間違える過程を
分析したその壮大な書は、
救急病棟の報告書の決まりにのっとり、
朝の申し送りで1週間読みあげられました。
で、こころなしか、最近、先輩たちから、微笑まれる回数が増えたと言ってました。
あと、色んな人に「アレ読んだよ」って言われるとも言ってました。
まさにベストセラー。
あと、もう、念願だったそうですが・・うん・・、
先輩たちもドクターもね、口々に言うようになったみたいです、
「救急病棟に、加藤ありき!」と(笑)
ドクターの言ってる言葉は、常時、呪文に聞こえるそうです。
「急いで○○持ってきて!」の○○が、
1回で聞き取れたことがないよー。って言ってる次第です。
そんな子が、救急病棟に配属になりました。
登場して、3ヶ月。
全然、名前を覚えてもらえない。
1年目の超新人 後藤さんは、もう「ごっちん」とか
呼ばれてんのに、
完全に「看護婦さん」って呼ばれてます。
隙あらば、看護婦さんにも「看護婦さん」って呼ばれる。
そうしたら、先日
「今、入院した患者さん、即オペになったから!」
と、怒涛の展開が起こったのです。
ごっちんが「何かやれることないですか!」
って飛び込んだ。
そうしたら、先輩も、ゆっくり頷いて、
「ごっちん、じゃあ、手術部位の剃毛、お願い」
そしたら、ごっちんが超マゴマゴして
「あの・・私・・剃毛したことなくて・・・」
そこでその子、もう、そのボールいただき!とばかりに飛びついたそうです。
「私、できます!」と。
「私、剃毛できます!」と。
「この加藤に、剃毛はお任せあれ!」と。
そうしたら、先輩が、じっと名札を見てから、
「加藤さん、お願い!」
って頷いたそうです。
「ごっちん、剃毛、手伝ってくれない?」って声をかけたらごっちんも「はい!」って嬉しそうに言うので、
ごっちんに「俺の背中みとけ」って感じで、ドクターにかっこよく
「先生、剃毛部位は?」ってデキル女風に確認して、
「全範囲だ」って言われて、1発で頷いた。
ドクターの言ってることが、1回で聞き取れた奇跡の瞬間と言ってました。
道具をすばやくそろえて、ごっちんを従えて、
患者さんの病室に飛び込んだら、ちっちゃいおじさんが居たそうです。
長年で培ったトークで患者さんをリラックスさせながら、
剃毛へと いざなう。
「手術って、やっぱり、そんなとこまで剃るんですね・・」
という患者さんに、
「そうですね、やっぱり毛の中にはバイキンが多いので、
ここから手術のあと感染したり うんたらかんたら〜」
なんて軽快なトークで、なめらかに下着を下ろして、びっくり。
樹海だ。
樹海である。
ちっちゃいおじさんが、猛威をふるっておる。
ごっちんが、無理だって顔をしてる。
ここを剃毛するなんて無理だって顔してる。
大丈夫。
目で合図し、
ごっちん、見てて。
もし「剃毛病棟24時」ってドラマがあったら、
江口は間違いなく私だよ。とか思いながら
ごっちんに右手を差し出し「ハサミ」と言った。
ごっちんは、すばやく、ハサミを差し出した。
「完璧・・ですね」
ごっちんが憧れの眼差しで見てます。
たった10分。
ノルウエイの森が、更地に。
そしたら、ナイスタイミングで、先輩とドクターが病室に来たので。
先輩に子犬のように駆け寄って
「剃毛したんで、確認してください」
って微笑んだそうです。
先輩が、オーケーオーケーと、微笑んで患者さんを見た。
下半身を見た。
そして叫んだ。
「頭の手術よ――――――――!!」
「この叫びを、私は生涯忘れないと思う。」と言ってました(笑)
で、一同絶句。
患者さんも、ごっちんも、先輩も、ドクターも。
ただ、病室の時計のカチカチカチカチって音だけが響いて
ご、ご覧のとおり、頭ボウボウなわけです。
で、でも、下はつるっつるなわけです。
「なんで・・こんなことに・・」ってドクター。
完っ全っに、剃る場所を間違ってるわけです。
本丸を手つかずにして、
とんでもないとこを、思う存分剃りあげたわけです。
患者さんも、「だよね」って言ってたそうです。
「頭の手術なのに、すごいとこまで剃るなーって、
やっぱグローバルなんだなーって」とのこと。
グローバル間違え。
剃毛っていったら、下しかないと思ってたみたいです。
それから無事、頭の手術を終えた患者さんに、
もう、師長も主任も連なって、謝って、
患者さんの家族にも
「上の毛と下の毛を間違って剃ってしまいました」
と謝って、
最終的には、院長まで出てきて、
「上の毛と下の毛を間違って剃ってしまいました。
患者さんの苦痛を考えると・・・」
って謝って、
最終的に、その子は
「上の毛と下の毛を間違って剃ってしまいました」
というミス・トラブル報告書を書いたそうです。
さまざまな角度から、上の毛と下の毛を剃り間違える過程を
分析したその壮大な書は、
救急病棟の報告書の決まりにのっとり、
朝の申し送りで1週間読みあげられました。
で、こころなしか、最近、先輩たちから、微笑まれる回数が増えたと言ってました。
あと、色んな人に「アレ読んだよ」って言われるとも言ってました。
まさにベストセラー。
あと、もう、念願だったそうですが・・うん・・、
先輩たちもドクターもね、口々に言うようになったみたいです、
「救急病棟に、加藤ありき!」と(笑)