店長ブログ

ワインの味♪♪

2021/02/08 20:42|コメント:0件

実は私、ワインの味が全く分からないです。「ミディアムボディ」「コクがある」「樽がきいている」「コルクの香り」。何一つとして感じたことがないです。ワインの味が分からない私にとって、「ワインリスト」とは正に凶器そのものだ。チリ産?イタリア産? なんでわざわざ産地が書いてあるんだ。産地による味の違いなんて分からないです。
 お好きなワインを選んで下さいという店員の無言のプレッシャーが刃物のように心臓をエグってきます。どんなにワインリストを凝視しても、何も分からないのだ。お好きもクソもない。聞いたことのある言葉をテキトウに繋げるしかないのです。「ボディの効いた、フルーティでキレのあるカベルネ系のワイン、ありますか?」
  “フルーティでキレのあるカベルネ”
  そんなものは存在するんだろうか。以前の上司が大のワイン好きで、よくワインを飲ませて貰いました。毎週のように行きつけのワインバーに行き、そこで彼が様々なワインを頼むのです。
 「シャルドネっていうブドウが基本なんだが、これが造る場所や造り手によって全然違う味になる。これは、けっこう口当たりが良いはずだ。」
 彼の難解な説明を聞いてフンフンと頷き、そんなことは当然分かっているとでも言わんばかりのいぶし銀な顔付きで勧められたワインを飲む。「いやあ、シャルドネ好きなんですよね。」そんな表情をしていました。グラスに注がれたワインをゴクリ。さっきのワインと、ほとんど同じ味がする。自分の味覚が多少音痴であることを差し引いても、ワイン間における細かな違いに関しては凡そ認識することが出来ない。「口当たり」って何だ? なんか口に当たるのか?そのワインが、恐らくコンビニの数百円ワインよりも多少良いワインであろうことまでは、さすがの自分でも何となく分かります。一方原価にして数千円以上のワインになってくると、もうそれらワイン間での違いが分からないです。引き締まった味? 開放的な風味?
 数多のワインを飲ませて貰った私が最終的に苦悩の末辿り着いた究極の結論は、ワインには「赤いワイン」と「白いワイン」、そして「飲みやすいワイン」と「飲みにくいワイン」が存在するというシンプルかつ力強い、先鋭的な理論モデルです。
 “赤さ” と ”飲みやすさ”、この2つの軸があれば全てのワインを説明することが出来ます。
「赤くて飲みやすいワイン」
 「白くて飲みにくいワイン」
  世の中にはそういったワインが存在しているだけで、「コク」や「ボディ」という概念は偽りであり、虚像とすら思えます。
 「...年は当たり年で、その年のブドウを使ったワインが...」
 「ブドウがアタル?」信じられないです。
  「...で、優雅な...の中に、どこか、ふくよかな果実味を感じないか...?」
 感じる・感じない以前に、果実味が「ふくよかだ」なんて、果実を食べた時にすら感じたことがないです。なんて世界なんだ...
 「...な、バターのような味が舌に残る、アロマティックな味わいが特徴で...」
う... 嘘だろ...? 嘘と言ってくれ... ばばばっば バター風味?そんなことが起こりえるのか? この液体が、バター風味のアロマティックだと...? この人は... 本当に、実在する世界の話をしているのか...? 自分と同じ液体を飲んでいるのか...?