店長ブログ

味覚音痴♪♪

2021/02/10 14:51|コメント:0件

数年前、富山県に旅行に行ったときのことです。富山でも有数の寿司屋を数カ月前に予約していました。カウンターしかないその寿司屋の空気感は厳かを通り超えて霊験あらたかであり、その物々しさに気圧されて我々一同は身構えました。回らない寿司屋では寿司の前に刺身のようなものが出てくる。まずは特性のタレで入念にコーティングされたマグロの刺身に、見たこともない草、つまりナゾノクサが添えられた豪勢な一品が姿を現しました。食べてみると、ウマい。“うまい” 以上の感想は出て来なかったが、何か気の効いたコメントを残さないといけないと思い、「うわあ、富山のマグロは全然食感が違いますね、それでいてこのマグロならではの甘みというか旨味、これは絶品ですわ」と一丁前にウナってみせた。ブリでした(笑)。
 ブリです。という大将の声が宙に舞う店内の空気は絶品中の絶品でした。「最初に出てくるのはマグロだろう」という謎の先入観による痛恨のミス。言われてみれば、味以前に、見た目が少しマグロとは違いました。パニックに陥った私は「おお、これがブリですかぁ.. なるほど、これはブリとは思えないほどウマいですね」という一発逆転狙いのコメントを放ちました。直後、これではただブリをdisっているだけであることに気付きました。これだけの高級店で最高級のブリを堪能しておきながら、口を開けば「ブリのくせしてウマい」という謎の上から目線。
 ほどなくして、ウニが出てきました。さすがに、ウニを見間違えることはない。どっからどう見てもウニ。ウニはウニ。食べてみると味もウニだった。ウマかったです。満を持して、「いやあ、北海道で食べたウニも美味かったけどやっぱ富山産のウニは段違いですわ」と大きめの声でウナってみせた。北海道産のウニでした(笑)。
 この問題に関しては、さすがにお手上げです。マグロとブリを間違える奴が、ウニの産地、分かるわけないです。「はっはっは!やっぱり北海道のウニは最高だああああ!」 開き直り天に向かって拳を突き上げ、高笑いしてみせたところ、大将は突然笑いました。こいつはダメだと思ったのでしょう。懐の深い人で良かったと思いました。
 自分の味覚レベルを痛感するタイミングは、日常にごまんと存在しています。例えば、フレンチを食べている時、肉には赤ワイン、魚には白ワインを勧められるが、“肉”と“赤ワイン”が一体どのようにシナジーしているのか、到底理解が及ばないです。
 加えて、「お口直し」として出てくるあのシャーベット。あれは、何でしょうか?あんなものが必要だと感じたことは一度もないです。「お口を直したい」という考えが顔をのぞかせたこと自体が皆無。というか本当にお口を直したいなら、“お口直し” なんていうその場凌ぎの対処ではなく、しっかり歯磨きに行くべきでしょう。前菜、スープ、魚料理、ここで一旦席を外し歯磨きをしてから、肉料理。というコースになりますよね(笑)。